・雨が多く湿度が高く夏は蒸し暑い、そして地震や台風が多い土地柄です。
そんな気候風土を無視したつくりは、結果的に結露やカビやシロアリの被害を受けやすく、人の健康を害したり、家の寿命を短くしてしまい、冷暖房などの機械設備に頼らなければ住みにくい住まいとなります。日本の気候風土のもとで無理のない住まいづくりは家づくりのみなおすべき原点ではないかと感じます。

２．命に優しい住まい

・ここでいう命とは人にも自然にも他の生き物たちにもということです。
人と自然、この両方に優しい住まいづくりこそ底辺に必要なことではないでしょうか。
自然は私たちにたくさんの恵みを与えてくれます。それは住まいや暮らしに関しても言えることです。自然と共に生きていくなかにこそ、これからの豊かな住まいや喜びに満ちた暮らしがまっていることだと感じます。
家づくりは一つ間違うと処分出来ない大量のゴミをつくりだし環境に負荷をかけることになりかねません。土に還る素材や、孫の代までその良さを継続し住み継いでいくことができる住まいづくりをしていきたいと感じます。そしてそんななかで自然のめぐみに感謝し、共に生きる豊かな住まいを考えていければと思っています。

３．機械に頼らない住まい

・機械物や設備機器は永久的な物ではありません。最終的に住まいの寿命よりかなり早い段階に壊れ、その維持費も建て主さんの負担となっていきます。機械が壊れれば住みにくくなるようなつくりは理想的な住まいとは呼べません。きらびやかな最新の設備に依存するより、機械に頼らないシンプルな家づくりがめざすところです。

４．職人の手仕事の良さをみなおす

・建材にたよった家づくりでは職人さんは減っていくばかり。今や本物の職人さんは瀕死の状態で悲しいばかりです。人の手によって生み出される温かさや味わいや優しさは、住まいにとって最も欠かせないものではないでしょうか。
職人さんの”本来の仕事”をはぶく金物やプレカットや建材物は、数十年はそれで良くても家の寿命を短くさせる要因のひとつです。数千年の歴史のなかで磨き育まれてきた職人さんの智恵と技によって裏付けされた住まいこそ私たちが大切にしていかなければいけない家づくりだと感じます。一軒一軒の住まいづくりによって、そんな職人さんが活かされる場ができることでしょう。

５．地場産材の利用

・「身土不二」という言葉がありますが、これは家づくりにも当てはまることだと思います。
地元の気候風土にそった住まいづくりのためには、その土地で育まれた素材が一番に適しているということです。雨の多い土地柄に雨の少な土地の材をもってくることは腐りの原因にもなりかねません。身近にあるその土地の素材をみなおしていきたいです。
※愛媛県内だけで良材を揃えようと思うと現段階では無理もありますので、温暖な土地柄である四国内を視野にいれたいと思います。

以上をあげましたが、それぞれが関連しあう内容でもあり、また一言では説明しずらいほど奥が深いです。
「命に優しい住まい」を造ろうと思えば、輸入材を使う事は大量の運搬エネルギーを使用し環境に負荷をかけることでもありますし、輸入材を使うことは「地場産材の利用」にはならず「日本の気候風土にそった住まい」にはならないという事でもあります。「日本の気候風土にそった住まい」にならないという事は「職人の手仕事の良さをみなおす」つくりの家にはならず「機械に頼らない住まい」とは反し、冷暖房にたよらなければいけない住まいです。もちろんそれは「命に優しい住まい」とは相反する住まいという事です。
以上のように記した事柄は、どれが抜けても成立しない関係でお互いがつながり合っていると言えます。

今まで現代的な建て方での家づくりを多く見てきて、その抱える問題の多くが以上の項目のどれか一つに反している結果によるものであるという事に気がつきます。そしてまたその問題を表面的に対処しようとして多くの事柄にまた多くの矛盾と無理を上塗りしながらの対処療法がとられてきたのが現在の多くある家のつくりと言えるでしょう。（詳しくはまた先で述べましょう。）最終的にそれが最良のものであるかどうかは言わずと知れたことです。

いろいろな家づくりを見てそんな矛盾を抱いていた私たちがたどり着いた先が『昔ながらの家づくり』にもどっていったという訳です。
昔ながらの家づくりは、これら全てを解決するべく懐の深さをもっていると言えます。数千年の歴史のなかで磨き育まれてきた日本の家づくりは、ここ数年での卓上の論議により生まれた家づくりなど紙切れに等しいほど、”理にかなう”奥深い智恵が感じられます。それは先人たちが日本の気候風土のもとで試行錯誤し失敗を積み重ねながら磨かれてきた結果を意味しています。そしてそんな智恵を形にできるのは、心ある職人さんの技術をもってこそ。
私たちはそんな家づくりこそ見直していくべき住まいではないかと感じます。

これからひとつひとつ昔ながらの家づくりの良さを現在の家づくりと照らし合わせながらお話し出来たらと思います。